「お墓が遠方で管理できない」「子供や孫に負担をかけたくない」という理由から、墓じまい(改葬)を行い、取り出した遺骨の新たな供養先として「海洋散骨」を選ぶケースが急増しています。

そこで多くの方が直面するのが、「お墓の解体から散骨まで、トータルでいくらかかるのか」「行政手続きはどれくらい複雑なのか」という疑問です。

本記事では、不透明になりがちな墓じまいの解体費用やお布施の相場から、見落としがちな「遺骨の洗浄費用」までを含めた総額と、トラブルなく散骨を終えるための5つのステップを葬儀の専門家が事実に基づいて解説します。

この記事でわかる3つのポイント
  • 墓じまいから海洋散骨までの「リアルな総額費用」の内訳
  • 自治体の手続きから散骨完了までの「5つのステップ」
  • 遺骨の「洗浄・乾燥」など、予算オーバーを防ぐための注意点
この記事の執筆・調査:TSオフィス 編集者 宮坂
一般社団法人終活協議会認定 終活ガイド資格 3級保有

父親の葬儀体験をきっかけに、最良のライフエンディングを伝える活動を行っています。不透明になりがちな葬儀・家族葬に関する情報を、感情論や推測ではなく「事実とデータ(一次情報)」に基づいて整理し、後悔のない論理的な葬儀社選びを公平な視点でサポートします。

結論、墓じまいから海洋散骨までの総費用は「約30万〜60万円」

明るく穏やかな海

墓じまいをして海洋散骨を行う場合、かかる費用は大きく「お墓の撤去」「お寺への支払い」「散骨自体の費用」の3つに分けられます。一般的な相場をまとめた比較表が以下です。

費用の種類 相場(目安) 内訳・備考
1. お墓の解体・撤去 10万〜30万円 墓石の解体と区画の整地。1平方メートルあたり10万円程度が目安。
2. 寺院へのお布施 5万〜20万円 閉眼供養(魂抜き)のお布施として3万〜5万円。菩提寺がある場合は離檀料が別途かかる場合あり。
3. 海洋散骨の費用 5万〜30万円 代行委託プラン(5万円〜)から、家族で船を貸し切るチャータープラン(15万円〜30万円程)まで。
総額の目安 約30万〜60万円 ※お墓の広さや散骨のプランによって変動します。

お墓の解体・撤去(墓石処分)の費用相場

石材店に依頼し、墓石を解体・撤去して更地に戻す工事費用です。立地(重機が入れるか)や区画の広さによって変動しますが、1平方メートルあたり10万円程度が一般的な相場です。

指定石材店制度がある霊園では、相見積もりが取れないため割高になるケースがあります。

行政手続きや寺院へのお布施(離檀料・閉眼供養)

遺骨を取り出す際、事前にお寺の住職に「閉眼供養(魂抜き)」の読経を依頼します。このお布施が3万〜5万円程度です。

また、寺院墓地(菩提寺)の場合は、お墓を返す際に「離檀料」として10万〜20万円程度を包むのが通例となっています。行政の書類発行手数料は数百円程度です。

海洋散骨自体の費用(プラン別の相場)

散骨には、業者が代理で撒く「代行委託プラン(約5万円〜)」、複数の家族が一緒に乗船する「合同プラン(約10万円〜)」、船を1隻貸し切る「チャータープラン(約15万円〜30万円)」があります。

親族が集まって最後のお別れをする場合は、周囲に気を遣わないチャータープランが選ばれています。

墓じまいして海洋散骨を行うための「5つのステップ」

美しい花と海

墓じまいから散骨までは、勝手に遺骨を動かすことはできず、法的な手続きが必要です。以下の5つの手順で進めます。

1. 親族間の同意を得る(トラブル防止の最重要項目)

もっとも重要な第一歩です。「お墓がないのは寂しい」と考える親族とのトラブルを防ぐため、墓じまいの理由と、今後の供養(海洋散骨)について事前にしっかりと話し合い、全員の同意を得ておきます。

2. 現在の墓地がある自治体で「改葬許可証」を取得する

遺骨を取り出すには、現在のお墓がある市区町村の役所から「改葬許可証」を発行してもらう必要があります。

役所の窓口やホームページで「改葬許可申請書」を入手し、現在の墓地の管理者(住職など)に署名・捺印をもらった上で提出します。

3. 墓前での閉眼供養(魂抜き)と解体工事の実施

許可証が下りたら、石材店と日程を調整し、住職による閉眼供養を行った後、遺骨を取り出します。その後、石材店によって墓石の解体と区画の整地作業が行われます。

4. 取り出した遺骨の「洗浄・乾燥」を行う(※土に埋まっていた場合必須)

長年カロート(納骨室)に安置されていた遺骨は、泥やカビが付着し、湿気を吸っている状態です。

そのままでは散骨に必要な「粉骨(パウダー化)」ができないため、専門業者による遺骨の洗浄と完全乾燥の工程が必須となります。

5. 専用業者による粉骨(パウダー化)と散骨の実施

洗浄・乾燥を終えた遺骨を、専用の機械で2mm以下の粉末状(粉骨)にし、水溶性の紙袋などに収めます。その後、事業者の船に乗船し、ルールに則った海域で散骨を実施します。

墓じまい後の海洋散骨で「よくある後悔」と失敗しない対策

手続きや手配に追われるあまり、供養の本質を見失って後悔するケースがあります。代表的な失敗例と対策を知っておきましょう。

すべての遺骨を海に撒いてしまい、手を合わせる対象がなくなる

散骨後に「やっぱり手元に少し残しておけばよかった」と喪失感を抱くケースです。

【対策】遺骨の全量を散骨するのではなく、一部を小さなペンダントやミニ骨壺に納めて自宅に置く「手元供養」を併用することを強く推奨します。

遺骨の洗浄・乾燥の手間や追加費用を知らずに予算をオーバーする

散骨業者のホームページに記載されている「粉骨料金」には、前述した「洗浄・乾燥費用」が含まれていないことが多く、取り出した遺骨の状態を見てから高額な追加費用を請求されるトラブルがあります。

【対策】墓じまいの遺骨を取り扱う実績が豊富で、最初から洗浄・乾燥の費用も込みで明確な見積もりを出してくれる事業者を選ぶことが重要です。

まとめ:複雑な手続きと供養の負担を減らすなら一貫サポートが安心

墓じまいから海洋散骨までは、石材店の手配、役所の手続き、遺骨の洗浄、船のチャーターなど、ご遺族にとって非常に負担の大きい作業が連続します。

専門家の視点から、これら複雑な工程に戸惑うことなく、遺骨の丁寧な洗浄・粉骨から安全な貸切クルーズまでを一貫して高いクオリティで任せられる事業者が「シーセレモニー」です。

墓じまい後の遺骨の行き先として海洋散骨を検討している方は、費用や実際の評判を客観的に比較した以下の解説記事をぜひお読みいただき、失敗しない事業者選びにお役立てください。

参考:改葬手続きに関する行政情報