エンバーミングのやり方を解説!申し込みの流れも紹介
大切な方のお身体を衛生的に保ち、生前の穏やかな面影を美しく蘇らせる遺体衛生保全技術「エンバーミング」。お別れまでの時間を常温のまま心ゆくまで過ごせる画期的な手法ですが、「具体的にどのような手順ややり方で処置が進むのか」「お身体をどのように扱うのか」が分からず、不安や疑問を抱く遺族は少なくありません。
処置の具体的な内容や、手配に必要となる書類・受付の正しい段取りを事前に把握しておくことで、いざという時にも慌てず、確信を持って大切な決断を下すことができます。
この記事では、エンバーミングの全 7 工程の具体的なやり方、申し込み時の受付の流れと必要書類、注意すべきポイントやよくある質問まで、論理的かつ誠実に解説します。
【この記事でわかること】
- 【処置の手順】消毒・洗浄から防腐薬剤の注入、外観修復、死化粧にいたる全 7 工程の具体的なやり方
- 【受付の段取り】申し込みに必須となる「2 親等以内の同意書」や死亡診断書などの必要書類と受付の流れ
- 【維持の期限】IFSA(日本遺体衛生保全協会)の自主基準に基づく状態管理の注意点と保全期間の限度
エンバーミングの具体的なやり方・全 7 工程の手順
エンバーミングは、専門の資格を有する技術者(エンバーマー)が、高度な衛生管理基準を満たした専門の認可施設(エンバーミングセンター)にて執り行う厳粛な処置です。
一般的な施術の具体的な手順は、以下の 7 つの工程に沿って進められます。
1. 安置場所から専門施設への搬送
故人様が現在安置されている場所(病院、警察署、またはご自宅など)から、専用の設備が完備されたエンバーミング施設へと、葬儀社が手配する専門車両(寝台車)を用いて安全に搬送します。
2. 全身の消毒と念入りな洗浄
故人様のお身体を施術台(エンバーミングテーブル)へ優しく安置し、衣服を取り除きます。
お身体の表面に付着している細菌やウイルスを死滅させるため、全身をくまなく消毒・殺菌。さらに、鼻腔(鼻の穴)や口腔(口の中)の内部まで丁寧に洗浄を行い、お顔の表情や髪の毛を優しく調えます。乾燥を防ぐために皮膚への保湿ケアも同時に行われます。
3. 防腐保全処置(薬剤の注入と体液の循環)
お身体の目立たない部分(鎖骨付近や太ももの付け根など)の皮膚を約 1 〜 2cm 小さく切開し、そこから血管(動脈と静脈)に細い管を接続します。
動脈から防腐・殺菌効果のある専門の保全液を優しく注入すると同時に、お身体を優しくマッサージしながら全身の血管の隅々まで薬剤を行き渡らせ、静脈から体内の血液を安全に排出します。
これにより細胞の腐敗進行が完全に停止し、お顔の血色も生前に近い自然な色合いへと戻ります。続いて、胸部や腹部に残っている余分な体液や腐敗物質を特殊な器具で吸引し、それらの器官へも再度保全液を注入して内部の安定を図ります。
4. 切開部分の丁寧な縫合と外観の修復
保全液の注入と循環がすべて完了した後、管を挿入するために切開した皮膚の箇所を、外見からは一切分からないよう極めて精緻に縫合・修復します。
病気によるやつれや、お怪我・事故による痛々しいお身体の損傷がある場合には、この段階でエンバーマー独自の高度な復元技術を用いて成形・修復を行い、生前の元気だった頃の穏やかなお姿へと近づけていきます。
5. 再度の全身洗浄と入念な乾燥
修復や縫合が終わった段階で、お身体の全体をもう一度シャンプーや石鹸を用いて綺麗に洗い清めます(お湯かんと同等の清拭)。
その後、柔らかなタオルで全身の水分を丁寧に拭き取り、ドライヤーの温風でお髪を優しく乾かして調えます。
6. 衣装の着付けと専門的な死化粧(ラストメイク)
ご家族から事前にお預かりした、故人様がお気に入りだったお洋服や着物(新生活への衣服)への着替え・着付けを丁寧に行います。
その後、生前の明るい表情のお写真を参考にしながら、お肌の乾燥を防ぎつつ自然な健康的血色を再現する専用の死化粧(ラストメイク)を施し、安らかな眠りの表情に仕上げます。
7. 厳かな納棺と葬儀式場への搬送
すべての処置とお化粧が完了した故人様を、遺族が立ち会う、あるいは葬儀スタッフの手によって棺の中へと厳かに納めます(納棺)。
お姿が美しく調えられた故人様は、再び専門車両によって葬儀を執り行う式場やご自宅の安置室へと搬送され、お別れの時を待ちます。
これらの処置にかかる純粋な施術時間は通常 3 〜 4 時間程度が目安となりますが、お召しの衣服の準備や往復の移動搬送時間を考慮すると、手配から完了まではおおむね半日から 1 日程度の日数を見込んでおく必要があります。
エンバーミング処置の手順と目的の一覧表
| 工程番号と名称 | 具体的な処置内容 | その工程が果たす本質的な目的 |
|---|---|---|
| 1. 専門施設への搬送 | 現在の安置場所から認可施設(センター)へ移動。 | 無菌環境と高度な設備が揃った安全な施術室の確保。 |
| 2. 消毒と全身洗浄 | 全身の薬剤消毒、目・鼻・口の内部洗浄、お肌の保湿ケア。 | お身体の公衆衛生保全と、死後の細菌・感染リスクの完全遮断。 |
| 3. 防腐保全処置 | 1 〜 2cm の小切開から保全液を動脈注入し、血液を排出。体内液も吸引。 | 細胞レベルでの腐敗停止(常温長期保存の達成)と自然な肌色の再現。 |
| 4. 縫合と外観修復 | 切開口の精緻な縫合。事故の負傷や闘病によるやつれの復元。 | 生前の健康的な面影を取り戻し、遺族の対面時のショックを和らげる。 |
| 5. 再洗浄と乾燥 | シャンプー等による全身の洗い清め、丁寧な乾燥。 | お身体を最も清らかな状態に調え、お化粧・着替えへの下地を作る。 |
| 6. 着付けと死化粧 | 好みの衣装(洋服・着物など)への着替え、お写真に合わせたメイク。 | 故人様らしい尊厳ある装いの再現と、安らかな眠りの表情の創出。 |
| 7. 納棺と再搬送 | お姿が調った故人様を棺に納め、葬儀式場や自宅へ戻す。 | 葬儀・お別れ会を常温のまま穏やかに迎えるための準備完了。 |
エンバーミングの手配・受付の流れと必要準備物
実際にエンバーミングを申し込む際、遺族側が調えるべき必要書類や準備物、受付の具体的な流れは以下の通りです。
1. 申し込みに必須となる必要書類と準備物の用意
エンバーミングは法的・倫理的な観点から厳格な手続きが義務付けられており、以下の書類と準備物が揃っていなければ処置を開始することができません。
- エンバーミング依頼書(同意書):処置を行うことに対する遺族の明確な同意を示す書類です。トラブル防止のため、原則として「2 親等以内のご親族」の直筆署名による承諾が必要となります。親族間で意見の不一致(反対)がある場合は施工されません。
- 死亡診断書(または死体検案書)の写し:法律上の死亡原因や事実を確認するために必ず提出を求められます。あらかじめ原本からコピーを取って手元に確保しておいてください。
- 故人様のお着替え(衣装):お別れの際に故人様に着用させたいお洋服(スーツ、ドレス、お気に入りの普段着など)や、伝統的なお着物を手配先(葬儀社)へ預けます。
- 生前のお写真:お顔立ちやメイク、お髪のセットを故人様らしい雰囲気に忠実に近づけるため、元気だった頃の表情が鮮明に分かるお写真を数枚用意しておくと、より希望通りの仕上がりになります。
2. 葬儀社への正式な申し込みと事前確認
基本的には、葬儀の施工を依頼している担当の葬儀社(窓口)を通じて申し込みを行います。
受付の際、葬儀ディレクターから故人様のお身体の状態や、生前の詳細な治療歴(点滴や手術の有無など)、特定の感染症の有無について細かな聞き取り(確認)が行われます。
これらの情報は、使用する防腐薬剤の濃度選定やお身体の修復プランを論理的に組み立てるために不可欠な要素です。説明内容や見積もり金額にしっかりと納得した上で、同意書類を提出します。
3. 施設への搬送と処置の実行
必要書類の確認と遺族の署名が揃い次第、葬儀社の手配によって現在の安置室から専門施設へと安全にお身体が移動され、専任のエンバーマーによって適切な管理環境のもとで施術が執り行われます。
【受付・手配における重要な制限ルール】
エンバーミングは、一般社団法人 日本遺体衛生保全協会(IFSA)の自主基準に基づき、お身体の保存期間の限度を「日本国内においては死亡後 50 日以内」と厳格に定めています(海外への特別な長距離輸送時などを除く)。50 日を超える長期の保全維持を目的とした受付は原則として認められていません。また、亡くなられた後、可能な限り早い段階(ご逝去後すぐ)で処置を依頼する方が、お身体への負担が少なく、保全・美観の復元効果が劇的に高まることを知っておくことが大切です。
エンバーミングの手順や申し込みの流れを理解したら、実際の予算計画に狂いが出ないよう、正確な費用相場を整理しておく必要があります。葬儀プランとは別枠で発生することが多いエンバーミング料金について、内訳の仕組みや、不必要な追加オプションを避けて賢く費用を抑えるための具体的なポイントを解説した、以下の費用完全ガイドをあわせてご確認ください。
エンバーミングのやり方と維持に関するよくある質問(FAQ)
100% 完全に元通りというわけにはいきませんが、専門資格を持つエンバーマーの高度な成形・復元技術により、周囲の誰もが驚くほど高いレベルで生前の穏やかな表情に近づけることが可能です。一般的な納棺師では対応できないような深い損傷であっても、専門の修復薬剤や皮膚の充填技術を用いて丁寧に傷跡を整え、お写真の面影に近づけていきます。この外観の確実な復元こそが、ドライアイス保存などの代替手段にはないエンバーミング独自の最大の価値です。
原則として変色を防ぐための処置ですが、ごく稀に生前の服用薬剤の影響等で軽微な色の変化が起きるケースがあります。正式に保全処置を施しても、故人様が生前に長期間服用・点滴していた特定のお薬の成分がお身体の内部に残留していた場合、注入した防腐液の成分と複雑な化学反応を起こし、皮膚に薄い変色が生じる事例です。また、元々体内の水分量が著しく低下していた方の場合は、時間経過による皮膚の乾燥進行で色が変わることもあります。万が一そのような変化が起きた場合でも、熟練の技術者が状況に合わせて上質なお化粧(ラストメイク)を繊細に施し直すため、お別れ時の外見の美しさが損なわれる心配はありません。
いいえ、葬儀社自体が施設を保有していなくても、専門の外部業者へ委託・連携することで問題なく手配が可能なケースがほとんどです。現在、国内の多くの葬儀社は、自社でセンターを所有していない場合でも、IFSA(日本遺体衛生保全協会)に加盟している近隣の専門委託センターと強力なネットワークを構築しています。そのため、担当のディレクターに「エンバーミングを希望したい」と伝えるだけで、搬送から手続きまですべてスムーズに代行・連携してもらうことができます。
エンバーミング完了後のお身体は、科学的に防腐・殺菌が完了しているため、重いドライアイスをお身体に乗せる必要は一切なく、ご自宅の部屋や式場の安置室などの一般的な「常温の環境」のままで安全に管理・対面することができます。ただし、状態を最高のクオリティでより長持ちさせるための配慮として、お部屋のエアコンを強めに効かせて室温を低めに保つことや、直射日光が直接お身体に当たらないような遮光の工夫、お肌の乾燥を防ぐために専門業者から説明された適切な湿度環境を維持する(極端な乾燥を避ける)といった、軽微な室内環境のコントロールを心がけるとより確実です。
まとめ|処置のやり方を正しく理解し、悔いのない最後の時間を
エンバーミングは、お身体の徹底した防腐・循環洗浄から、お怪我の丁寧な修復、故人様らしい衣装の着付けや死化粧にいたるまで、お別れまでの限られた時間を美しく尊厳あるものにするための極めて洗練された専門技術です。
依頼にあたっては、2 親等以内の同意書類や死亡診断書の写しといった必要書類を迅速に調え、亡くなられた後できるだけ早い段階で手配を確定させることが、保全効果を最大限に高めるための重要なポイントとなります。
ドライアイス等の簡易な代替手段のデメリットをシャープに排除し、常温で優しくお身体に触れ合える温かな時間を作るために、正しいやり方としきたりを理解し、親族間でしっかりと納得のいく最適な選択を下しましょう。
今回の重要な要点を 3 つにまとめました。
- 1. 専門施設で行われる全 7 工程の徹底した保全手順:搬送から洗浄、1 〜 2cm の小切開を伴う防腐液の注入循環、お怪我の高度な外観修復、術後の全身清拭、そして衣装への着替えと死化粧まで、約 3 〜 4 時間の実施工時間をかけて故人様の尊厳あるお姿を調え上げます。
- 2. 受付・手配には親族の明確な同意と迅速な書類提出が必要:申し込み時には 2 親等以内のご親族による署名入りの同意書と、死亡診断書のコピーが必須要件となります。お気に入りの衣装やお写真を事前に揃えておくことで、故人様らしさをより深く再現できます。
- 3. 保全期間の限度は国内基準で 50 日以内:IFSA のガイドラインに即し、状態維持の限度は 50 日以内と規定されており、平均的には 10 日前後の火葬待ちや遠方家族の帰国待機スケジュールに合わせて非常に有益に活用されています。
【段取りに悩まず、親族として誠実な弔意を示すための今すぐできる行動提案】万が一の安置の段階や、予期せぬスケジュールの変動で慌てて後悔しないために、以下の 3 つの行動を実践してください。
- 1. 依頼している葬儀社のスタッフに「自社保有のエンバーミング施設の有無」や「近隣の専門業者との提携状況」をあらかじめ確認しておく:事前に窓口の手配ルートを確認しておくことで、急な逝去の際にも搬送の手間や余分な車両移動コストの発生を最小限に抑え、最速で適切な保全処置へと移行できるようになります。
- 2. 衣服の着替えやお化粧(ラストメイク)のオプションを申し込む際、エンバーミングの基本料金内の処置内容と重複していないか内訳をチェックする:エンバーミングの基本プランにはラストメイクやお着替えが元から含まれていることが多いため、葬儀プラン内の重複オプションを賢く外すことで、不要な出費を確実に排除できます。
- 3. まずは自宅で落ち着いて各宗派の正確なしきたりや、明瞭な定額プランの特徴を比較できるよう、無料の公式資料を取り寄せてみる:不透明な追加費用を完全に排除した安心の家族葬料金システムや、ご家族だけで故人様を常温のままお囲みして最後の時間を過ごせる貸切型の式場情報が書かれた資料を事前に確認しておくことで、いざという時の判断が驚くほど明確になり、心穏やかなお別れの時間を創出できます。
■ 葬儀の準備や費用プランをスムーズに整えるためのポイントエンバーミングの具体的な手順や手配の流れだけでなく、各宗派ごとの正確な葬儀全体の流れや、明瞭な総額費用プランを事前に把握しておくことで、いざという時にも慌てずに大切な方をお見送りできます。
不透明な追加費用を排除した分かりやすい定額家族葬プランや、他家に気兼ねなく最後の時間を過ごせる貸切型の空間設計で支持されている「家族葬専用式場はないろ」。その具体的な料金システムや施設独自の強み、失敗しないための資料請求の手順については、以下の解説記事をあわせてご参照ください。
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【情報源・参照統計一覧】
- 日本におけるエンバーミング自主基準、利用規定および専門施工施設の定義 – 一般社団法人 日本遺体衛生保全協会(IFSA)(https://www.embalming.jp/)
- 厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査基準(葬祭施工管理における公衆衛生保持および遺体衛生保全措置の定義) – 葬祭ディレクター技能審査協会(https://www.sousai-director.jp/)
